「丸子宿から宇津ノ谷峠へ」(静岡2日目前編)

温泉で温まったことと、ふかふか羽毛布団のお陰で、しっかりと、寒さで目を覚ますことなどなく、
朝を迎えることができました。洗面台に行くと、外はうっすら明るくなっています。
そして、よい意味でうるさいほど、外で鳥がさえずっています。あぁ、ここは静岡なんだね。
しかし、昭和レトロな雰囲気がいいね。木の引き戸に、タイル貼りの壁、優しい灯りの電燈・・・。
OT氏は寝起きの悪さが昔から定評ですが珍しくすっきり起床。「いやーよく眠れたよ」と。そりゃよかった。
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ほどなく若女将さんが食事を運んでくる。いやー、朝食もまた、素朴で素晴らしい。
お漬物、オーソドックスなハムエッグ、柿の白和え、大根おろしとしらす、そして、けんちん汁、とおいしいご飯。
特にけんちん汁がよかった。具だくさんで、体も心も温まる。あぁ、なんか田舎の朝ごはん、という感じ。
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1泊だとあっという間ですね、若女将さんに見送られ、チェックアウト。お土産を頂戴する。
前回宿泊時は丸子宿を描いた広重の絵をモチーフにした切手を頂いた。
そして今回はみかんをたっぷり。こうした細かやな心遣いは若女将の人柄がとても出ていますね。
このたびはお世話になりました。改めて御礼申し上げます。
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そして、車で宿から3kmほど西へ進んだところにある集落へ向かう。名前は宇津ノ谷(うつのや)。
丸子宿と、次の岡部宿の間にある難所、宇津ノ谷峠を背にしています。集落の入口に車を停める。
今でこそ、すぐ裏手で大きなトンネルが二つ、口をあけて国道1号線が走り抜けていますが、
昔はこの山を越える厳しい道が「蔦の細道」と呼ばれ、平安時代から旅人が行き来していました。
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宇津ノ谷峠を歩いた在原業平が伊勢物語で、「駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人にあはぬなりけり」
と詠んでいますから、きっと、寂しいところだったんでしょうね。今もその面影があります。
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こうやって、一軒一軒に屋号があるんです。
ちなみに、この地域は一時は皆さんがそれぞれ個々に増改築したりして美観が失われましたが、
協議会を設立し、話し合いながら昔の姿を取り戻そう、と復元を進めてきました。
それが実り、平成17年には国交省より「美しい町なみ賞」を受賞する栄誉に輝いています。
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急峻な階段・・・弥次さん喜多さんもここを歩いたんでしょうか・・・。
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階段を上ると、道が二手に分かれます。右は山をさらに登る道。つまり、旧東海道(この画像にある坂です)。
左は、明治に開通した通称「明治のトンネル」に向かいます。紅葉の色づきがまた素敵です。
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案内標、文字が剥がれかかっていますが、「丸子宿」、「宇津ノ谷」、「岡部宿」という文字が見てとれます。
裏手の旧東海道の登山道、勾配のキツさがここの峠越えの厳しさを物語ります。
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さきほどの案内標から100mほど進むと、明治のトンネルが見えてきました。
画像にはありませんが、トンネル手前右手の広場には石灯篭があり、どうやら常夜灯の役目を果たしていたようです。
木々が生い茂り、昼間ですら暗い山道を進む旅人が、この明かりで安堵したんでしょうね。
今は灯篭に苔もむし、石も剥げていますが、歴史の証人ですね・・・。
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明治9年開通ですから、当然、東海道線完成よりも前。そして、過酷だった峠越えが一気にラクになりました。
ちなみに、建設費償還のため、有料だったそうです(日本初の有料トンネルです)。
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開通当初は木造の枠でトンネルの内壁が構成されていたそうですが、その後の失火で崩落、
明治37年、煉瓦で改めて復旧しました。その後、より大きい「大正のトンネル」、そして、東海道線の全線開通、
さらに「昭和のトンネル」の完成により、明治のトンネルはその役目を終えることになります。
現在、車は通行止めで通ることができませんが、歩行者と自転車(バイクは?)は通行可能です。
幅は乗用車がちょうど走れるくらいでしょうか。しかし、明治時代に作られたとは思えない堅牢さです。
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岡部宿側に抜けたあと、振り返って再び丸子宿側に戻ります。来る時には気付きませんでしたが、
頬に風が当たります。あちらからこちらに流れているんですね・・・。
トンネルを出ると、さきほどは気付きませんでしたが、山と山を結ぶケーブルが朽ちていました。
どうやら材木の搬出に使っていたらしい。滑車やカゴは錆びていますが、反対の山まではまだしっかりと結ばれているように見えます。
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トンネル側から宇津ノ谷集落を望みます。真ん中の道が旧東海道。
山の合間に肩を寄せ合うように家々が連なります。奥の山には茶畑もありますね。車に戻り、次の岡部宿に行ってみます。
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Commented by ゴマ夫@12・6は最終決戦 at 2009-12-02 23:00 x
こんばんは。日記拝見しました。
毎回素敵な写真と、ユーモアあふれる文章を楽しみにしております。
閑話休題。静岡での宿、楽天トラベルで調べましたが、なかなか高評価ですね。
美人のおかみさんにもお会いしたいものです。

追記:今年の競輪GPは京王閣です。参戦しますか?
Commented by navona1971 at 2009-12-03 12:20
いやいや、ゴマ夫さんのウルトラス松本的日記?も楽しみにしています。
そうですね、お風呂が個人住宅並みに狭いという欠点を除けば、ここはよい宿です。
普段は東海道五十三次を徒歩旅行する中高年の方に人気とのこと。
実は12/5、6の決戦の前にこの宿に行くのを決めてしまって。そうでなければ、
松本行きを先にするんでしたよ・・・。JFL昇格の瞬間見たかったですし。
来年は町田で山雅の雄姿が見られるかな。

GPはSY氏が晦日まで仕事なので、私も見送りかなーと。
ゴマ夫さんは日帰りですかね。呑むチャンスがあればよろです。
by NAVONA1971 | 2009-11-29 23:58 | ぶらり旅行記 | Comments(2)